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朝食勉強会

〜農業、企業再生、地方創生からベンチャー支援、宇宙旅行まで〜

現役小僧のハイブリッドワーク・ライフスタイル

2016年10月13日(水)に本年度第1回目の朝食勉強会が、シャングリ・ラ・ホテルにおいて開催されました。今回は、再生請負人と称される一方、農作業に本格的に取り組んだり、民間宇宙旅行機に日本人で一番早く申込みをされるなど幅広く活動される、小僧com株式会社代表取締役 平松庚三様にご講演いただきました。

企業を再生するポイント

私は、過去ヘッドハントにより外資系日本企業の再生を4社引き受けてきました。
通常、社員をヘッドハントしても社長をヘッドハントする会社はあまりなく、このように社長をヘッドハントする会社は断末魔の状態です。このような断末魔の会社を立て直すための最も重要なポイントは「人」です。経営は人が全てなのです。
そこで、経営者になってまず行うことは人材の発掘と調達です。経営者は人・金・時間といった色々なリソースを使わなければなりませんが、それは必ずしも社内のリソースだけでなくて良く、社外のリソースも積極的にしっかり使うことが大切です。必要な人が社内にいなければ外から連れてくるということはよくあることです。

人材採用のポイント

人を連れてくる時のポイントは「不公平」です。
日本は公平というものに捉われ過ぎています。本来、優れているものはどんどん進ませるべきです。なぜなら、経営者(会社)は人を雇うのではなく、「才能」を雇うからです。
多くの会社で、何年入社、何大学出身、ということで仲良くやっていますが、ビジネスをする上では全く意味のないことだと思います。会社の人事も、働く社員ももっと自分の能力にスポットを当てなければなりません。
その結果、才能のある社員を優遇し年齢や入社年度は無視する。若くて社歴が短くても仕事に見合った給与を支給する。すなわち公平に扱わないことが結果を出すためには必要なのです。

働くということは一所懸命とは違う

これまでの日本の会社は、郊外に住んで50〜60分満員電車に揺られて通勤し、夜遅くまで残業をする、ということが当たり前でしたが、本来はこういうことが働くということではありません。働くということは、「アウトプットは何かを考えること」なのです。
つまり、会社に忠誠を誓うのではなく自分のジョブに忠誠を誓うことが真に働くということであり、ただ一所懸命にやればいいというものではないのです。
そして、経営者は必要なジョブやファンクションに合う才能を採用するのです。企業を再生するために、ジョブやファンクションに合わなかったので人を変えたということも何度もありました。

育てるということ

人を見極めるのは難しいものです。ましてや、再建に当たってはじっくりと見極めている時間がありません。5年10年かけて人を育てることはできないのです。
ですから私はいつも、採用したその日からスタメンに起用します。
もちろんいきなり打てるわけはありません。しかし、空振りでもいい、その空振りの仕方を見ることが大切なのです。そうしてスタメンで使用しているうちに人は育っていくものです。
しかし、人を育てるということでさらに大切なことがあります。それは、社長は人を育てる前に自分で自分を育てなければならないということです。
そのためには、自分はプロダクトであると考えることが必要です。プロダクトであるということは自分の価値を創ること、すなわち自分のプロダクトバリューをあげることが自分を育てるということになるのです。

人生の価値観について

これまでの日本人の価値観として、良い大学に入り、良い会社に就職し、結婚する。これが良い人生だ、というものがありました。そして、これは今でも同じようにあります。
しかし、みんなが同じ考え方、同じ価値観ということは国として大問題なのです。なぜなら、そこには多様性というもがないからです。 その原因は、小学生の時から独創性より協調性を重要視する教育にあります。どんなに才能があっても飛び級もなく、周りと同じ授業を受ける。これでは才能があっても伸びることができません。
これからの社会では、才能ある人を伸ばすことが必要です。そのためには、成功体験をさせ思いっきり差をつけていくこと、そしてこれが人生である、という価値観を持つことが大切になっていくのではないでしょうか。

起業のきっかけ

孫さん、三木谷さんとの出会いがあり、自分は雇われ社長でいいのか?という自問自答が始まりました。
「これが自分の人生か?」という思いです。
世の中には、大きい会社=良い会社、という考え方が今でもあり、私にもありました。孫さんや三木谷さんとの出会いがあり、自分で会社を起こすこともいいことなのではないか、と考え始めたのは50歳になってからです。しかし、起業するのは何歳までというのは全くありません。年齢は全く関係ないのです。

運というものについて

誰にでも平等に運は与えられています。そして、運は私たちの周りに常にたくさんあります。しかし、運は待っていても来るものではありません。大切なのは運を掴みにいくことで、運をきちんと掴むかあるいは気づかないかはその人次第なのです。
その一方で、不運も周りにたくさんあります。自分も不運に遭遇することもたくさんありました。しかし、大切なのは不運を運に変えることです。
私が、ライブドア傘下の弥生株式会社の社長だった2005年暮れに堀江さんに独立をしたいと言いに行きました。そして、2006年1月の終わりに堀江さんにも一部出資してもらって独立するはずでした。しかし、独立する前にライブドア事件が起こってしまったのです。このため独立することはできなくなりました。
でも、独立が先だったならば、堀江さんの出資を受けていたことで自分も週刊誌に叩かれていたかもしれかったのです。このように考えてみると、私は運が良かったと思います。

今後のチャンスを活かせるか

世の中は、今最大のチャンスがきていると言えます。どういうことかというと、ここ10年で産業革命以来の過去250年間に起きた変化以上の変化が起きているのです。そして、これからももっと変化が起きるでしょう。
この変化を捕まえられるのか、このチャンスに会社を、そして自分で自分を変えられるのかが勝負の分かれ目になるのではないでしょうか。

地方の再生について

私は最近、農作業を行なっています。それもかなり本格的に取り組んでいます。群馬県のみなかみで180年前の古民家を買い、畑を2反半くらいの広さでやっているのです。
そうしているうちに、みなかみでディスティネーション・マネージメント(町おこし)のためのアドバイザーをすることになりました。
今、地方は非常に疲弊しています。その原因は人口が20〜30%減っていることと、中央集権のもと国から交付金が出る仕組みですが、この中央が地方を従える仕組みは江戸時代から同じまま続いています。
そこで、中央からの交付金を当てにしない方法を地方で考えていかなければなりません。そのためには各地方でビジネスを立ち上げる必要があります。しかし、地方でビジネスというと工場を誘致することばかりを考えてしまいますが、群馬のみなかみという温泉地に工場を作ろうとする企業はありません。
つまり、その地方それぞれの特色や長所を活かした町おこしをしなければならないのです。そこでは、その地方独自の価値を創り経済的に独立するということへのこだわりを持つことが必要になります。このようにして地方が自分で独立してやっていける力をつけなければならないのです。

年金財政について

地方財政だけでなく、年金財政もこのままでは破綻することは間違いありません。60歳を過ぎたら年金を受給できるという制度が間違っていると思います。年金の受給年齢や退職年齢は国や会社が決めることではなく、自分が決めることなのです。
損得ではなく自分の人生が面白いかどうかということの方が重要なのですから、60歳を過ぎてもまだ現役だと思う人は、全額でなくても良いので年金の財源を納める側に回ればいいのです。
また、今の日本では平均寿命と健康寿命の間が8年間もあります。つまり、自分で生活できない期間が8年間もあり、この8年間にお金がかかっているのです。そして、この8年間はなんの意味もない時間なのですから平均寿命と健康寿命を近づけることは大変意義のあることだと言えるのです。
この考え方をアメリカではCCRC(Continuing Care Retirement Community=継続的なケアを提供する高齢者向けコミュニティ)といい、いかに長く健康でいるか、いかに介護が必要になる年齢を遅らせるかについて考える生活共同体のことをいいます。
そして、この2つの寿命を1年近づけるだけで莫大な国家予算の節約になるのです。

宇宙旅行について

アメリカのスケールド・コンポジット社の技術を使って、リチャード・ブロンソンが設立したベンチャー企業での宇宙飛行に予約しました。最初に予約した80人のファウンダーの一人となっています。費用は25万ドルで、現在約800人が予約待ちの状態となっています。
私たちファウンダーは2004年に予約しているので、すでに12年以上待っていることになるのです。普通の旅行で、予約して12年経ってもまだ行かれないということは考えられないのですが、実は、この宇宙旅行は待っている時間が素晴らしいのです。
私たちは年に1回、アメリカ・カリフォルニアのモハビ砂漠で訓練をしたり試験飛行をしたりしているのですが、そこで集まるメンバーのネットワークが大変貴重なのです。どういうことかというと、そのメンバーが変な人、つまり強力な個性の持ち主の集まりであり、年1回の交流に非常に価値を感じているのです。

最後に・・・経営者として必要なものとは

ソニー創業者の盛田氏の言葉「リーダーはネアカでなければならない」を今でも守っています。たとえどんなに辛い時でも、リーダーは辛い顔を見せてはならないと。
そうは言ってもやはり辛い時はありますが、そんな時は「ネアカのふりをする」と盛田氏は言っています。ネアカのふりをして、お客さんを、従業員を、社員を騙す。そうしていると自分も騙される。
このようにして、正のスパイラルを作り出すことが大切なことなのです。 “Pretend to be positive!”