活動報告

  1. HOME
  2. 活動報告
  3. 朝食勉強会

朝食勉強会


2010年第2回朝食勉強会を10月28日(木)ザ・ペニンシュラ東京「ザ・ギンザボールルーム」にて 開催しました。 講師:陶雲明氏(弁護士)をお招きし、「中国ビジネスへの進出と注意点」というテーマでご講演いただきました。

中国とのビジネスの基本方法は2つあります。
一つ目は、貿易WTO加盟後の中国との貿易は、喜びと憂いが半々になり、関税の低下なども影響して、中国とのビジネスはやりやすくなりました。
中国の規制がある場合は、中国の会社と同じように、税関に申請すれば中国でビジネスができますが、許認可をとらなければならなくなりました。
外国の会社の場合は、北京(中央政府)で許認可しなければなりません。一般企業の場合は、許認可をとるのが厳しい状況です。WTO加盟前と比べるとやりにくくなっているものが多いですね。昔と同じようにはいかなくなりました。
二つ目は、本日のメインテーマ子会社(現地会社)を設立ビジネスして展開する方法です。

【 注意点 1 】投資分野の設定及び事業目的決定時の誤り回避

進出可能の分野は、中国の「外商投資産業指導目録」に沿ってどういうビジネスをやるのかを検討することです。自分がやりたいことがどの分類に属されるかを見る必要があります。投資の際、奨励類分野もあれば、制限類分野もあります。奨励類分野は、免税措置が受けられるから進出したがるのですが、両方ある場合は、制限類分類の分野に何とかできるかを工夫してみてください。中国の税制度が変わったという話もありますが、それは中国の会社と同様に扱われるという意味なのです。(メリットは僅かでも逃さない)

【 注意点 2 】税優遇や地方税優遇及び財政補助の最大利用と再認識

現在の税優遇や、地方政府から財政補助のメリットがある、地域の差(内陸地方政府の企業誘致)は最大利用できます。財政補助(上海の例)利用には注意が必要。地方本部は、上海で設立されれば、日本円にして1~2億くらいの財政補助があります。しかし、投資すれば必ず受けられるというものではありません。財政補助はすべてメリットではないです。彼らの目的は自分の地域の経済を発展させることで税制補助を出しているのです。今は、資本主義になっています。地方政府は経済を活性化させるしかないのです。

【 注意点 3 】立地(設立住所)選定についての誤解

中国投資するときに、不動産は買わないほうが良いと考えている日本企業が多いのですが、偏った考え方であると成功できるとは限りません。ある顧問先は、進出する際に大きな土地をもらいましたが、中国撤退する際には、土地の値段が倍くらいになりました。自分の考え方を狭くせずに、メリットを利用することを勧めます。
また、土地使用権は貴重です。地方政府が土地を安く提供することがあるが土地使用権は、地方政府を信じて買えばよいという問題ではありません。いろいろな問題があります。たとえ手にいれたとしても簡単に土地使用権の登記ができないのです。登記されていなければ売却もできないので注意が必要ですよ。
日本の常識で中国の登記場所について誤った判断をすることがあります。たとえば上海で会社設立するためには、まず登記しなければなりません。日本と大きく違うところは、日本は、自宅でも会社設立登記できますが、中国は商業施設でないと登記ができません。登記資料を取り寄せてチェックすること。契約してから解約するのは訴訟になる場合も多いです。

【 注意点 4 】従業員採用時の認識誤り

日本企業の場合、その地域で募集することが多いですが、同じ地域で募集すると親類ばかりになってしまいます。お互いが親類ですと不正が起こりやすいんです。労働者募集は、進出先の招商局(企業誘致機関)に頼るべきです。 また、幹部として採用すると親類ばかりになってしまいます。裁判になることもあります。中国で訴訟に勝つよりは訴訟に巻き込まれないようにすることが大切です。管理幹部は同村同郷に限られます。

【 注意点 5 】労働力の安さのみ求めの進出

製品の日本への逆輸入時代は終焉しました昔は、中国で生産して輸入していました。現在は、(1)人民元切り上げ(2)資源、原材料の値段高騰(3)人件費の倍増で、中国のコストが上がってきています。中国政府は、従業員の賃金を5年で倍増すると発表しています。中国の所得はGDP並みの増加率にあるのが現状です。世界工場から世界市場への認識転換が必要です。

【 注意点 6 】政府方針からのビジネスチャンス認識不足

土地使用権(開発区の許可)のように、新しい法律改定されればビジネスチャンスがあると思ってよいのです。中国の政府の法律を見る人と見ない人とでは大きな違いあります。香港、台湾の人が成功しているのは、中国政府のことを把握しているからです。

【 注意点 7 】中国の知財についての認識不足

どうせ日本人は、中国で特許取らないであろうと思っています。自社商標特許、商標の放置しないことです。日本のよいブランドは中国にとられているんです。もし、とられた場合は、早期に対策を講じたほうがいいですね。買い戻そうとして商社に相談したら、5,000万~1億ださないと買い戻せないと言われました。やっと取り戻しましたが、登記しなければならないので、時間がかかります。商標登録するのにも時間がかかります。模倣品への対抗の無力さですね。模倣品に関しては、中国の高速鉄道はのぞみと同じくらいのスピードです。なぜ、商標登録をしなかったのでしょうか。証拠があれば、裁判所はかばうことはできないんです。

【 注意点 8 】販売形態設定への認識不足

販売は、代理店選定方法が重要です。中国は、広いし、少数民族もあり人の性格も違うので、中国代理店は、地域性を考え地域によっておくとよいでしょう。 デパートに委託販売をさせる場合の注意店(在庫の流用、不良債権)は、在庫の流用があります。在庫数がわからなくなるというケースもかなりありますし、不良債権も多いです。

【 注意点 9 】コンプライアンスとCSRに対する認識の甘さ

中国のグレー地帯多が多くグレー地帯にビジネスチャンスがあります。グレーは怖くないです。しかしコンプライアンスの代償認識しておく必要があります。ある企業が子供の従業員を使うことがありまるが、身分証明書偽造は当たり前です。あとでわかって切ると提訴されてしまいます。切るときに考えたほうがよいですね。
時代にあった、コンプライアンスの実践を考えたほうがよいですね。中国の弁護士に相談しながらやったほうがいいと思います。

~講師プロフィール~
盛聯法律事務所のパートナーで、東京の大手法律事務所に7年間勤務した経験がある陶雲明弁護士は、おもに日本企業の対中投資支援や中国進出展開に関連する広い業務を行ってきた。顧客リストには、錚々たる大手日系企業がずらりと名を連ねる。