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朝食勉強会


2012年10月25日(木)、ザ・ペニンシュラ東京において朝食勉強会を行いました。
「新ソフトウェア産業ビジョン~スマートイノベーション時代、日本企業の進むべき道は?」と言うテーマで、当クラブの和田会長自ら、熱い思いをお話し頂きました。
今回のシーテックでは、インターネットに関わるデバイスが統一されてマルチデバイスになっていき、クラウドというソフトウエア産業の構造を根本的に変えてしまう大転換が始まりつつある様子がうかがえます。産業革命は今から200年前にものづくりとともに大きく変わってきたように、今の変化はサービス業の産業革命がこれから起きていくのではないかと思っております。そのきっかけとなったのは、スティーブジョブスのⅰPhoneであり、我々の生活スタイルが大きく変わりました。パソコンを家で開かず、持ち歩いて検索できるようになりました。まさにサービス産業の革命が行われつつあり、どのように変わっていくかをお話いたします。
コンピュータは、1950年がスタートです。IBMは1911年創業、その後50年間は集計機の事業、1950年ごろにプログラムという概念ができ、大型の汎用機によるデータ処理、1980年にスティーブ ジョブズによりパソコンが誕生。彼が集中という概念を分散に変えました。1990年代になると汎用機とパソコンが融合し、どこからでもアクセスができるようになりました。
これが第3の波であり、コンピュータの概念が変わりました。
マルチデバイス(スマホ)などの利用が生活スタイルやワークスタイルを変え、サービスの産業革命を起こしつつあります。そういう変化が社会で起きているときに何が大切なのか。日本の産業の過去を振り返ると応用技術の歴史です。自動車産業を成長させてきた原動力は、応用技術、顧客志向に立ったもの作りの姿勢です。
顧客志向の高いものを発想するプロデュース力こそがこれからのソフトウエア産業、サービス業においてはより重要となります。ITを活用して新しい発想をプロデュースしてゆくサービス産業構築こそが日本が得意とするものである。
現在の日本のソフトウエア産業は50%が受託形態であり、もっとプロダクト分野にシフトしていかないと産業そのものが成長していくのは厳しい。日本はサービス産業にしても製造業にしても典型的な垂直統合構造になっている。 デジタル化が進むと、レイヤー化(水平構造)が進んでいきます。
集中化が進んでいくと自社工場で作るよりも買った方が安くなる。iPhoneがもたらした変革はレイヤー化です。それまでは携帯というデバイスとサービスが一緒になっていたが、iPhoneはデバイスとOS、その上にソフトウェアをダウンロードして携帯、メールが機能として使える仕組みを作った。部品化することで縦から横の構造に転換させた。
製品価値を考える中で自分の強みであるものを選択と集中をしてこだわりを持つことにより、レイヤー化の中でイノベーションを起こすことで、全体の価値をも変えていくことができる。
レイヤー化した戦略で自社の戦略エリアをレイヤーに集中することによってブラックボックス化できるし、他社とも組みやすくなる。
役割分担と選択と集中。役割分担と協力ということで成長させることによって製品強化ができる。自社の強みにフォーカスし、顧客が求める製品価値を提供する。アップルは自社の極めて優れたテクノロジー、特許はあまりない。世界の技術を集めてお客様の求めるものをつくりあげた。
イノベーションはどこで起こっているのか。アップルはiOSを使って、iPhoneをつくった。グーグルの検索機能は全世界の人が毎日利用している。何百万台というサーバを仮想化して集中処理した結果を返している。フェイスブックも同じ。
ソフトウエアこそがイノベーションのポイントです。ソフトウエアをどう活用して、製造業の中に最もデジタル化できる、或いは、重要な部分、マーケティング部分を変化させていく。
ものづくりの中にソフトウエアを組みいれ、マーケティングの中に取り入れて、ビジネスモデルをIT化を活用して変革していくことが重要なポイントになっている。
日本の強さはソフトウエアの品質、応用技術、決め細やかさ、顧客志向ということがキーワードになると思われます。
日本は品質の高いので、標準規格を作ったりして、ソフトウエア環境のプラットホーム(基盤)を作りましょうという動きが始まっている。
お客様満足度、顧客主義が重要である。海外はそういうものは引き継がれない。応用技術は長期戦になると日本はお客様志向を原点としてお客様を見ておけばすべての答えは与えられる。プラットホームにフォーカスし、選択と集中を行っていく。

~講師プロフィール~
和田成史
1952年生まれ。
1975年、立教大学経済学部卒業。
1976年、大原簿記学校勤務。
1980年、株式会社オービックビジネスコンサルタント設立。同社代表取締役社長(現在)。
1999年、(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)理事。
2000年、JPSA常任理事。
2006年、JPSA(現CSAJ)会長就任。
立教経済人クラブ 会長。